秋の一日骨董市を訪れた
大きなホールに様々な骨董屋が並んでいる
様々なものたちがぐしゃぐしゃと音と匂いを出している
埃やカビ臭さ
店主の客に媚びない佇まい
恐る恐る値段を聞く客
無言で並び立つ道具たち
外は秋の日差しが燦々とぬくもり、猫が喜ぶ日向があるが
会場にある招き猫はシンとして
冷ややかに前足を上げている
青い目の人形はどこを見ているのかそっぽを向く
蜻蛉玉が秋の日を受け輝く
田舎の畦道にひっそりとしていた道祖神が
喧騒な都会の店先に並ばされている
遠い砂漠の国から連れてこられたであろう仏陀像
様々なものが吐く長いため息を聴く
帰り道はどっと疲れが噴き出す